水泳の全国大会 高校女子 バタフライ 100m 決勝
ザバッ!ザバッ!
軽いかるいかるいかるいかるいーーーーーーっっっ!!!!
ザバッ!ザバッ!
すごいっ! なんだか今までで一番体が軽いっ! なんか凄いーーーっっっ!
ザバッ!ザバッ!
行け行け行けいけいけいけいけいけえええーーーーーーーっっっ!!!!
ザバッ!ザバッ!
うっひゃあーーーーーーーっっっ!!!!! なんかすごくいいいいーー!!
ザバッ!ザバッ!
そおれそれそれそれそれそれーーーーーーーっっっっっ!!!!!
ザバッ!ザバッ!
いけいけいけーー!!! とばせとばせとばせとばせとばせえーーーっっ!!
ザバッ!ザバッ!
うひゃっ!もう目の前に!
ザバアッ!グルッ!
タンッ!ザーーーーーーッ!
うひゃー、なんか最高ーーーっ! なんだか、このまま、このままあっ!
ザバアッ!ザバアッ!
いけー! とにかくいけーーーーーーっっっ!!!!!!!!!
ザバアッ!ザバアッ!
手が、脚が、なんだか体がっ!
ザバアッ!ザバアッ!
すっごく気持ちよく動いてるううううっ!
ザバアッ!ザバアッ!
このまま、いけーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!
ザバアッ!ザバアッ!
それそれそれそれそれいけいけいけいけいけえええええーーー!!!!!!
ザバアッ!ザバアッ!
うわっ!もおおしまい?! も一回、ターンしちゃおっか!
ザバアッ!ザバアッ!
でもまあっ、いいやっっ!!!
ザバアッ!バンッ!
ザバアッッ!!!
「うひゃーーーーーーーっっっ!!!!! きもちいいいーーーっっ!!!
あははははははははっっっ! ええっ? 声がでかい? あ、ごめんなさーい! あれっ? でも先生、なんか嬉しそうだね? え、白百合に勝った? 白百合学園? ……なにそれ?
「ん? あ、あたし1位だったんだあ。ほえ〜、知らなかったよ。あ、それよりさ、それよりさ、先生! さっきね、さっきね、すっごく気分よかったんだよ! すーーーっっっごくすぅーーーっっっごくよかったんだよおおーーーっっっ!!! 水がね、水がね、一緒にすっとんでって一緒にザアアアッッッ!!!って!」
「あ、ああっ! ねえ先生! 1位って、記念かなんかで写真撮るの?!撮るの?? ねえっ!撮ってとってとってとってえーーー!!!!! 今すぐ早く、撮ってえっっっ!!!!! ……え? どーでもいいから早く上がれ? ぶーーーーっっっ」
「ね、先生、さっき撮った写真さ、2枚ちょうだいね。1枚じゃないよ、2枚だよ。うん、ちょっとね、見てほしい人がいるんだ。ん? そうだよ、応援席にはいなかった。来れなかったんだ。今ね、遠くにいるの。だから、来れなかったの。……でも、今日の大会の事知ってるから、たぶん、きっと、今ごろあたしの事考えててくれてると思うんだ。……忘れてるかな? いや、そんなことないよね。たぶん、きっと、心配してくれてるかもしれない。だからね、写真を贈るの。手紙もいいけど、写真があったほうがもっといいよね? ね?」
「大会記録で優勝? うーーーん、よくわかんない。前も言ったけど、記録とか、そんなのはどうでもいいの。うん、みんなや先生が目標にしてるってのは知ってるよ。でもね、あたしはいいんだ。」
「ね、先生は新記録とか優勝とかって好き? そっかあ。なんかよくわかんないけどさ、男の子ってそういうの好きだよね。え? そう思わないのってあたしだけ? そっかなあ? だけど、今日のは嬉しかったよ。泳いでて気持ちよかったし。単に、まっすぐ、速く泳ぐので今日くらい楽しいのは今までなかったんだ。それに、たぶんあいつも喜んでくれると思うしね。ま、あたしは気分良かったし、お土産もできたから、とにかく全部良かったかなっ♪」
「ね、写真見たらさあ、やっぱ、会いたくなってくれるかな? うん、遠くにいる人。会いたく、なってくれるよね? そうだよね。そうだよね……。
「先生っっ!!!! あたし、明日部活休むっ! 写真を手渡す! 会いに行くううっっっ!!! え?! 写真ができるの明日の夕方?! そんなんじゃ待てないよお! いいや、あたしだけでも行く! だから明日部活休むねっっっ!!!
「え、明日はどのみち休み? あ、そうだったっけ。へ、うんちん? お金? えっとね、確かいくらかかるんだっけか……。えっとね、場所は……、そう、だから……、ああ、そう、そのくらいかかるんだよね、確か。わーっ、あたしのお小遣いじゃ足りないよお……。兄貴に前借りしよっかな……。あ、先月腕時計買うのに前借りしたっけか? どうだったっけ? え、時計はあたしのじゃないよ。その辺は、秘密。ま、どのみちそんなに借りれそうにもないなあー。ちぇっ。」
「あああっ! そうだ、先生、お金貸してくれない? 貸して貸して貸して貸してっ! ねっ? ねっ?! いいでしょ? いいでしょ!! 会いにいくの! 会いに行くのっ!
「……え、貸せない? 貸してくれないのお? ちぇっ、けちっ! けちぃっ! ぶーーーーーーーーっっっ!!!」